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新設「国際関係学部」


 

 2019年度、外国語学部の1学科であった国際関係学科は独立し、新しく「国際関係学部」が誕生する。そこで今回、新設される学部で教鞭を執ることになる、鈴井清巳教授にインタビューを実施した。そこには、国際関係学部を「真のグローバル人材を育成する場」にするという教授の確固たる決意があった。

 

国際関係学部の最大の特徴は、社会科学系の学部であることを明確にしたことだ。外国語学部のように語学を中心に学ぶのとは違い、語学はあくまでも社会科学を学ぶためのツールとして用いる。つまり、国際関係学部では、法学部や経済学部と共通する社会科学系の国際分野を日本語と共に、他の言語を用いて学ぶのである。そのため、学びの本質は社会科学で、学部の専任教員も全員が社会科学系の教員である。

 

 学科から学部に独立した結果、規模の面では学生数と教員数が増加する。質の面では、社会科学系の学びを前面に出し、授業は少人数ディスカッション形式を中心とした。授業の中で特色があるのは、「海外フィールド・リサーチ」だ。この授業は必修科目で、1年次の終わりに約3週間、英語圏かアジア圏の国で海外研修を実施する。費用は学費込みだ。その経験を2年次以降の学びや留学など、将来の進路につなげることが目的である。この海外フィールド・リサーチについて、鈴井教授は「現地でしかできないことを体験し、1年間の勉強がどのくらい海外で通用するかを学生に確認してもらうのが狙い」だと話した。

 

 ではなぜ、国際関係学科は学部へ独立する必要があったのだろうか。鈴井教授は「真のグローバル人材を育成する場所が求められていたから」だと語る。この真のグローバル人材とは、鈴井教授によると「ビジネス、外交、文化交流等の分野で、語学をツールに自分の使命を果たせる人」だと言う。世間が思う英語が流暢に話せるだけの人材とは大きく違う。実際に、アジア圏の国では仕事や生活のために、英語圏の国で使う英語とは違った、アジア的英語を使う人が沢山いる。このアジアの英語、ひいては自分の英語を使って使命を果たせる人が真のグローバル人材なのだ。そして自分の使命を知るためには、社会科学系の学びが不可欠なのである。

 

国際関係学部が外国語学部の1学科であった頃はその社会科学系の意義が正確に理解されず、「国際関係学科は語学を学ぶ場所」と認識されがちであった。そんな中10年の月日が経つことで実績を蓄積し、多くの関係者の意向で国際関係学科は学部への道を歩むこととなったのだ。

 

 2019年度から国際関係学部の新入生となる学生に対し、鈴井教授は「4年間で自分に付加価値をつけ、勉強したことを堂々と話せる人になってほしい」と語った。最後に、学部となった意気込みを鈴井教授は「学部設立は悲願だった。これから真のグローバル人材を育成するべく頑張っていきます」と決意を熱く語った。

 

【田村脩汰】