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書評 「数学文章作法 基礎編」


 

 大学生になって、レポートや論文など様々に文章を書く機会が増えた方も多いと思う。しかし、なんとなく文章を書いてみても、気が付いたらとても読みにくい文章になっていたりする。そんな経験がある方に一度読んでみて欲しいのが「数学文章作法 基礎編」だ。

 

 題に「数学」とあるが、数学を学ぶための本ではない。文章を書くにあたって大切にするべき考え方や文章の基本的な形式を知ることが出来る本だ。具体例には数式が示される場合もあるが、その数式の意味が理解できなくても読み進められる。

 

 第1章では《読者のことを考える》という文章を書く際の原則を示し、第2章~第7章で、この原則に沿うためには具体的にどのように文章を書いていくべきか、第8章では第1章~第7章を振り返りまとめている。

 

 各章の始めに「この章で学ぶこと」、最後には「この章で学んだこと」という節があり、その章を読むのに時間がかかってしまっても章の最初と最後を読めば、どのような内容だったか思い出せる。どの章でも「こうするのが良いから」、あるいは「こう書くのが大切だから」など理由のない書き方の押し付けは無い。一つ一つ丁寧に「なぜそう書くのが大切なのか」が説明され、とても説得力がある。

 

 数式の有無に関わらず、文章の書き方に迷った時に読むと目が覚める一冊だ。