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むすびわざ館企画展「女子宮廷装束の華」


 2024年の大河ドラマの主人公が紫式部に決定した。その影響で平安装束に関心が高まっており、むすびわざ館(京都市下京区)にある京都産業大学ギャラリーの平安装束に関する展示にも多くの鑑賞者が集まっている。同ギャラリーでは5月18日から7月9日まで、「女子宮廷装束の華」を題材に第25回企画展を行っている。今回、むすびわざ館事務室の浅子(あさご)さんに企画展について話を伺った。 

 

 今回の展示の見どころは十二単だ。十二単を構成する着物を1枚ずつ見ることが可能であるほか、十二単の成立や変遷も知ることができる。

展示されている十二単

 

 

 展示の中で浅子さんが特に魅力を感じるのは裳(も)だという。裳とは十二単の一つで、腰に巻き付け後ろに垂らすものだ。展示されている裳は羅(ら)という織り方をしている。同様のものに紗(しゃ)や絽(ろ)という織り方がある。羅という織り方は他の二つより織ることが困難だ。したがって、織ることができる職人は少ない。また、模様が複雑なため機械での製造は不可能である。以上のことから羅の裳は、大変貴重なものである。

 

 十二単の成立と変遷を知る展示では、宮廷で働く女性の役割が時代ごとに異なっていることが分かる。十二単の起源は奈良時代に宮廷で働いていた女官の服まで遡る。当時の女官は官僚としての役割が大きかったため、服も動きやすいものであった。しかし、平安時代になると女性装束は機能性よりも華やかさが重視され、十二単ができた。紫式部もまた、十二単を着たのであろう。展示を見ることで女性たちはいかに豪奢であったか知ることができる。

 

 今回の展示は、十二単の他に源氏物語に関する展示もある。展示されている服は源氏物語絵巻に描かれた装束を再現した夏服と冬服だ。間近で見ることが可能なので季節によって、布の織り方や生地が異なることが分かる。

 

 最後に、浅子さんから本学学生へのメッセージをいただいた。「資料を借りてきて華やかな展示をしていますのでいろいろな学部・学年の学生に見てもらえればと思います。特に1・2年次生はこの機会に、産大にもこういった施設があるのだということを知ってもらえればうれしいです」

 

 展示会は無料である。京都産業大学ギャラリーは徒歩で阪急大宮駅から約11分、JR丹波口駅から約7分、京福四条大宮駅から約11分のアクセスだ。大河ドラマに興味がある人も、そうでない人も展示を鑑賞しに行ってみて欲しい。

 

△むすびわざ館アクセス


むすびわざ館 URL