普段の生活の中で決済方法の手段としてキャッシュレス決済を利用する人も多いのではないだろうか。
これまでの日本社会はSuicaのような交通系ICカードやクレジットカードはある程度普及が進んでいたものの、依然として現金による決済が主流であり、QRコード決済にいたっては利用する人はほとんど見かけなかった。また地方によっては完全に現金社会という地域もあり、政府が掲げる大阪万博が開催される予定の2025年にキャッシュレス決済比率を40%まで上昇させるとした目標の達成は難しいのではないか、という声もあった。
しかし昨年の消費税増税に伴って期間限定で導入されたキャッシュレスポイント還元事業やテレビやネット、YouTubeなどを使った大々的な宣伝、コロナの流行による現金に対する忌避などにより、キャッシュレス決済を利用する人々は確実に増加している。実際、6月に行われた経済産業省の「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」の資料を見ると2015年では18%だったキャッシュレス決済比率は2019年には27%となり大幅に上昇した。東京都内ではキャッシュレス決済のみ受け付け、現金での支払いはお断りという店舗も登場し、キャッシュレス化の動きはさらに加速しつつある。
一方でキャッシュレス決済には現金に比べてお金を使った実感が少ないため使いすぎてしまうという面や、口座情報などの個人情報が流出する可能性があるといったデメリットもある。個人情報の流出に関しては、10月にはNTTドコモがサービスを提供するドコモ口座を経由して不正な預金の引き出しが行われる事件が発生し、大きな話題となった。
企業側がこの問題にしっかり対処していくのは当然のことだ。ただこういったデメリットをしっかりと理解しながら、適切に利用していくことが利用者として望ましい姿といえるだろう。