本学には 2020 年 9 月現在で富山、石川、福井の北陸地方出身の学生(1~4 回生)は約 2800人在籍しています。そんな大所帯である北陸の魅力やローカルネタを北陸生まれ、北陸育ちの筆者がシリーズでお送りしていきます。第3回目の今回は福井県です。
第3回目の今回は福井県です。
→第1回の富山はこちら
→第2回の石川はこちら
福井県は自然豊かなことで知られています。内陸部を見ると、土地の総面積に対して森林面積が約74%もあります。沿岸部に注目すると、20メートルに及ぶ岸壁を持つ東尋坊や、日本水仙三大群生地の一つに数えられる越前海岸、ラムサール条約湿地に登録された三方五湖(みかたごこ)などが有名です。
時代を経て、福井県は今の形になりましたが、昔は越前国(現在の嶺北と敦賀市)と若狭国(敦賀市を除く現在の嶺南)で、それぞれ別々の国として成立していました。
そして現在、福井県は嶺北(れいほく)地方と嶺南(れいなん)地方で、大きく2つのエリアに分けられます。その主な境界は南越前町と敦賀市の間です。厳密には、木ノ芽峠(きのめとうげ)と呼ばれる峠で、木嶺(もくれい)とも称されます。この峠は険しく、街道の難所でもありました。また、この峠は過去に何度も古戦場として利用され、一向一揆の頃の城址も数多く残っています。そして、木ノ芽峠に加えて、栃ノ木峠(とちのきとうげ)・山中峠(やまなかとうげ)を境に福井県は隔てられ、北と南で生活圏も異なりました。現在、木ノ芽峠の直下に、交通インフラとして、北陸本線の北陸トンネル、北陸自動車の敦賀トンネル、国道476号の木ノ芽峠トンネルが通っています。
もちろん嶺北地方と嶺南地方で、文化・慣習などに共通する部分はありますが、違いもあります。例えば、方言についていえば、嶺北地方では福井弁を話し、嶺南地方では嶺南方言を話します。福井弁は北陸方言の一種で、間投イントネーションが特徴的です。
間投イントネーションとは、語尾や会話の区切りで上下に抑揚することで、嶺北地方出身の福井県民とお話しすると、その独特な話し方に最初は驚かれるかもしれません。嶺南方言は近江弁や、京ことば、舞鶴弁に近いとされおり、近畿方言の一種ですが、北陸方言の要素もあります。嶺南地方は西近江路(にしおうみじ)や鯖街道などを通じて、近江・京都方面の玄関口として栄えており、北陸と関西の2つの言語圏から影響を受けたのが一因だと考えられています。
ここまで嶺北地方と嶺南地方をテーマに紹介させていただきました。ここからは、食をテーマに紹介させていいただきます。まず、福井県の特産品といえば、いちほまれ(米)、越前ガニ、サバ、谷田部ネギ、吉川ナス、若狭牛などが有名です。また、福井県の料理といえば、越前そば、さばのへしこ、永平寺の精進料理、オムライスの上にカツをのせソースをかけたボルガライスなどがあります。ちなみに、焼き鳥の秋吉や、ソースカツ丼のヨーロッパ軒は福井県の有名なお食事処です。そして、福井県のお菓子といえば、羽二重織りにちなんだ和菓子「羽二重餅」や、冬にいただく和菓子「水ようかん」がおすすめです。
福井県は北陸地方のなかでも一番知名度の低い県ですが、豊かな自然やおいしい特産品が数多くあります。もし福井に訪れる機会がありましたら、せわしない日々から一度離れていただき、自然あふれる広大な土地で至福のひと時をお楽しみください。
以下、紹介しきれなかった福井の観光地や実際の方言などを記載しております。興味がありましたら、ぜひご覧ください。
☆福井の日本一・すごいもの☆
・社長排出数
出身地別社長数を各都道府県の人口と照らし合わせ、人口10万人あたり何人の社長が出ているかを調べたものです。帝国データバンクによると、2020年度の社長排出率は1.37%となっており、38年間日本一となっています。
・油揚げ消費量
福井県民にとってなじみの深い食材です。
・眼鏡、眼鏡枠の出荷額
福井県のメガネフレームは国内シェアの9割を超えています。ちなみに、鯖江市にはめがねミュージアムがあり、そこには博物館や体験工房もあります。もちろん、眼鏡の購入も可能です。
☆福井あるある☆
・カツ丼といえば
福井でカツ丼を注文すると、一般的なカツ丼ではなくソースカツ丼が出てきます。
・ショッピングモール
実は、福井にイオンモールはなく、全国から見ても珍しい県です。福井のショッピングモールといえば、フェアモール福井やショッピングシティ・ベルなどが挙げられます。
・水ようかん
水ようかんといえば夏にいただく和菓子ですが、福井では冬(11月~3月)にいただくという独特の食文化があります。他県のものと異なり、柔らかくみずみずしいのが特長です。
☆福井の観光地☆
・福井県立恐竜博物館
福井県の勝山市にあります。世界有数の規模の恐竜博物館で、恐竜骨格や化石・標本、ジオラマ、復元模型などが展示されており、恐竜を間近に見ることもできます。
・氣比神宮
福井県の敦賀市にあります。「越前一の宮」「北陸道の総鎮守」とも称される古社で、建立された大鳥居は「日本三大木造大鳥居」の一つに数えられ、国の重要文化財にも指定されています。
・あわら温泉
福井県のあわら市にあります。明治16年に開湯し、「関西の奥座敷」とも呼ばれる。多くの文人墨客に愛され、名湯百選にも選ばれています。また、近くにはあわら温泉屋台村「湯けむり横丁」もあります。
☆福井の方言☆
※上から、方言・意味・例文
・あばさける(ふざける)
「いつまでもあばさけてえんの」
(いつまでもふざけていないで→やめなさい)
・おちょきん(正座)
「ちょっとそこにおちょきんしね」
(ちょっとそこに正座しなさい)
・かぜねつ(口内炎)
「かぜねつあんの?はよ診てもらいね」
(口内炎ができたの?はやく診てもらいなさい)
・じゃみじゃみ(テレビの砂嵐)
現在ではほとんど使われていませんが、アナログテレビが普及していたころ、番組の終了後に流れるテレビの砂嵐を「じゃみじゃみ」と呼んでいました。
・だんね(差し支えない、構わない)
「こんなんでだんねーか?」
(こんな感じで差し支えない?)
・つるつるいっぱい(あふれるほどいっぱい)
コップやお椀などの容器に並々まで液体を注ぐこと
「そんなつるつるいっぱい入れたらあかんで」
(そんなにあふれるほど入れてはいけません)
・のくてえ(馬鹿、あたたかい)
「のくてえやつやな」
(馬鹿なやつだな)
「このコタツのくてえわ」
(このコタツあったかいわ)
・はよしね(はやくしなさい)
「もう時間やで、はよしねや~!(はよしねま~!)」
(もう時間がないんだから、はやくしなさい!)
お読みいただきありがとうございました。今回で最終回となります。北陸出身の筆者ですが、世代やお住まいの地域によって内容に違和感を覚えることもあるかと思います。どうかご愛嬌でお願いします。福井の魅力や面白いことはここに書ききれないくらい沢山あります!いっぺん福井に来ておくんねの~。
【リンク集】
☆観光案内☆
旅行の際は消毒やマスク着用、COCOA の活用など新型コロナウイルス感染症の対策を十分に行いましょう。
監修:福井県出身の本学学生