日本三大祭りの1つ、祇園祭では多くの露店が出店しており、多くのごみが発生する。この問題を解決するためボランティアと共に取り組む「祇園祭ごみゼロ大作戦(通称:ごみゼロ)」代表の太田航平さんに取材した。
ごみゼロの主な活動内容の1つは廃棄物の分別だ。2014年にごみゼロの活動が開始するまで、鉾町には約1400個のごみ箱が配置されていた。それに代わりごみゼロが設置する約50箇所に集約したエコステーションにて来場者への声かけと回収を行う。
2つ目の活動がリユース食器の導入である。リユース食器とは、洗浄後に再使用可能な皿やコップだ。祇園祭におけるごみの7割(容積ベース)が使い捨て容器であった。このごみの削減をするため出店している露店へ導入するよう呼び掛け、毎年約20万食分をリユース食器に切り替えることに成功している。
日本において、祇園祭と同規模の祭りで廃棄物の分別回収とリユース食器の導入を行った例はない。祇園祭で可能なのであれば、それぞれの地域の祭りでも導入できると考えて欲しいと太田さんは話す。実際、全国の自治体から職員が視察を兼ねて祇園祭を訪れ、市民と共にボランティアに参加している。
リユース食器は関西万博にも導入されるほど、現在社会において需要が高まっている。本学の神山祭においてもかつてはリユース食器を導入していた、神山祭実行委員会によると現在はエコトレイという、サトウキビを利用した食器を用いている。
ごみゼロ以前の祇園祭には大きな問題があった。それは、地域住民の負担だ。それまでに置かれていたごみ箱は溢れ、足の踏み場も無いほど散乱していた。そのため地域住民は、夜を徹して清掃活動を行っていた。さらに、回収したごみの処理費用も住民が負担しているという。
そもそも祇園祭とは、1ヶ月に及ぶ神事であり、八坂神社や周辺地域が主体となって運営している。しかし神事とは関係のない露店を管轄する団体は存在せず、地域住民が負担を強いられていた。
この状況が続くと、今後100年200年と祇園祭を続けることも難しくなる。そう考えごみゼロの活動を開始した。
2日間で延べ約2000人に及ぶボランティアの存在がこの活動には欠かせない。高校生から社会人、高齢者まで、幅広い年代の人々が参加している。活動後のアンケートでは、「楽しかった」「いい出会いとなった」という声も多く何度も参加するリピーターも多い。
社会人の多くが企業単位で申し込んでおり、各社の地域貢献意識が伝わる。
活動資金の8割以上を協賛金や寄付金で賄っているが、そういったところからもSDGsへの取り組みを感じることもできる。
本学の学生もこの活動に多く関わっており、ボランティアセンター経由の申し込みと個人での申し込みを合わせて毎年、100人程参加しているという。
今年のボランティアも現在募集しているので、関心がある学生はぜひホームページを確認してほしい。